雑記

文章練習

前提知識も技術もない能無しは、何度も立ち上がることくらいしか武器がない

 ある分野において、この世に才能があると言えるのが10%だとしたら、能無しも同じ割合はいると考えて良いだろう。こういった私のような無能人間は、とにかくやり続けることくらいしか武器がない。

 効率的にできるというのは、才能があるものの特権だ。私も僭越ながら人より得意である分野については、周りの有象無象を見て、どうしてこんなに非効率なことをするのかとよく思うものである。対して、適正のない分野においては、なぜ周りは自分を差し置いて、こんなに早く成長するのだろうかと思うものだ。

 正しい方法で努力すれば夢は叶うなどという謳い文句は、じっさいは方便以外の何ものにならない。ある程度の正しい方法を見つけ出し、ある程度それを信頼できるというのは、紛れもなく才あるものの特権だ。90%の人間はそういうわけにはいかず、何が正しいのかわからないまま進むしかない。ましてや、10%の能無しにそれを期待できるだろうか。

 つまり能無しに許されたことは、決して立ち上がるのをやめないことくらいである。気持ちよく走らせてくれるなど、烏滸がましいにも程がある。努力は、天才には気持ち良かれども、能無しには辛く、儘ならぬものだ。そして、転ばないことも不可能だ。能無しは失敗をし続ける。しかも、同じ失敗を何度も何度も繰り返す。挫折は不可避、ならば、考えるべきは立ち直ること、それだけだ。

 立ち上がり続けること、それだけが能無しの私の武器だ。